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大同生命保険も活用!メンタルヘルス・マネジメント検定で健康経営をリードする

インタビュー

大同生命保険も活用!メンタルヘルス・マネジメント検定で健康経営をリードする
この企画では、日本の資格・検定編集部が社内の教育制度に資格・検定を活用している企業・団体に導入のきっかけや感想をインタビューします!

今回は、メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験を管理職層の社員教育に導入している大同生命保険株式会社(以下、大同生命保険)の人事総務部で健康管理業務を担当する辰巳恭一さんにお話を伺いました。

辰巳恭一さん
大同生命保険株式会社
人事総務部(大阪)課長

メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験とは

メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験は、働く人たちの心の不調を未然に防ぎ、ケアするための知識や対処方法を習得する、大阪商工会議所主催の公的試験です。
心の病による休職や離職、自殺の増加が社会問題となっている現在、自身や周囲の人の心の不調に気付き、正しく対処するためのノウハウはますます必要とされるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験の詳細はこちら
メンタルヘルス・マネジメント検定試験の公式サイトはこちら

導入の目的

・部下がメンタル不調に陥らないように、管理職が日常的に配慮する意識を高めたい
・部下に不調が見られた際、安全配慮義務※に則って適切な対応をできるようにしたい
※労働契約法の第5条に定められた企業の義務。従業員が安全で健康に働けるように配慮することが定められています。

実際の効果

・習得した知識に基づいた迅速なケアが現場レベルで可能になった・部下への業務の割り振りにおいて、心の健康状態なども考慮して業務の負荷を決定しようという意識が高まった
・営業担当者は社員のメンタルヘルスや労務管理に悩む企業の経営者との会話に生かされた

大同生命保険の事業内容について教えてください。

当社は主に中小企業やその経営者をお客さまとして、「最高の安心」を提供し、発展を支える経営者保険のパイオニアです。1902年に当時朝日生命(現在の朝日生命とは別会社)を経営していた加島屋が主体となって、護国生命・北海生命との三社合併により大同生命保険が誕生しました。2015年のNHK連続テレビ小説「あさが来た」のヒロインのモデルとなった広岡浅子は創業者の一人です。

他社に先駆けて中小企業市場に特化したビジネスモデルを展開したのは1970年から。当時、全国の中小企業様は「高度経済成長期の原動力」とされ、日本の急速な経済発展に大きく寄与していました。しかし一方で、経営者や従業員の保険・保障といった福利厚生制度については、まだ十分に準備されていなかったのです。

そのため、中小企業様の経営者やその従業員をリスクからお守りする商品へのニーズが高まり、税理士事務所や中小企業を会員とする各種団体を通じて、2018年度末時点で約37万社の中小企業様にご契約いただいています。

国内に存在する中小企業数は408万社※にのぼるともいわれる中、当社では今後もより多くの中小企業様に「最高の安心」をお届けするために、社会環境の変化に合わせた保険商品・サービスの提供を行い、中小企業様のさらなる発展に貢献していきたいと考えています。
※出典:総務省「平成26年経済センサス-基礎調査」

メンタルヘルス・マネジメント検定試験を導入した背景は何ですか?

2010年代前半、「心の健康」「働く人のメンタルヘルス不調」などの問題意識が世の中に広がりを見せたとき、社内でもさまざまな場面で研修を行い、管理職向けのガイドブックを作成・公開して推進していましたが、現在のように検定試験の受験を促す仕組みを社内に取り入れようといった動きはまだありませんでした。

しかし、徐々に「社員のメンタルヘルス対策に取り組む上で管理職の役割は重要であり、個々人の心のケアについての知識習得状況を公的な試験を実施して可視化した方が良いのではないか」という声が上がりはじめ、メンタルヘルス・マネジメント検定試験の導入を検討することになったのです。

はじめは「メンタルヘルス・マネジメント」という言葉から、「人対人」の対応を学ぶものだと想像していたのですが、実際にテキストを読んでみると、Ⅱ種では「人対人」の対応だけではなく、メンタルヘルス不調者の上司として、不調者と関わりのあるスタッフとの連携や産業医の活用など、職場の環境全体を含めた「人対組織」の対応ノウハウも学ぶことができると分かりました。

▲各級の対象者と目的

当社は本社勤務の社員だけでなく、全国の支社で勤務する社員もいます。学習を通して、各支社が一丸となって社員の異変にいち早く気付けたり、メンタルヘルス不調者に通院の提案ができたりといった迅速なケアが叶うのならば、本社から遠い支社に勤務する社員も安心して働けるのではないかと考え、2017年度より現場をまとめる管理職層全員のⅡ種受験を順次開始しました。

また、2017年には「従業員一人ひとりが心身(ココロ・カラダ)ともに健康であることが、企業の成長や社会への貢献にとって大切である」という思いから、全社を挙げて「健康経営宣言(ココ・カラ宣言)」を発表しました。メンタルヘルス・マネジメント検定試験の受験促進もその施策の1つとして掲げています。

メンタルヘルス・マネジメント検定試験の活用方法を教えてください。

課長や係長などの管理職層全員を対象に、メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種の受験機会を提供しています。繁忙期を除いた年6回の団体特別試験の受験で、毎回2カ月前にその回の受験対象者へ告知をするという流れです。人事総務部からはテキストの無料配布や受験料の負担などで受験者を支援しており、これまでに約2,200名が受験。合格率は約73%となっています。

▲1年間の試験実施と流れ
※上記は大同生命保険社内での団体特別試験の受験スケジュールで、他社や公開試験とは異なります。


試験の導入を告知する前は、「仕事と並行しての学習に抵抗のある社員が多いのではないか」「反対意見が大きかったらどうしようか」という不安もあったのですが、実際に導入してみると社内での浸透はとても早かったように思います。

私たち生命保険会社の仕事はお客さまの人生に深く関わるもので、当社では経営者様だけではなく、その従業員の方の人生にまで寄り添ったサポートをしなければなりません。受験対象となっている管理職層の社員はこの仕事の大切さを身をもって知っているゆえに、部下や自身のメンタルヘルスケアの必要性をよく理解してくれたのかもしれません。

本社には社員が使用できる自習室があるのですが、そこで学習する社員の姿も見かけますし、全国の支社からも合格の知らせが届いていますよ。

受験した社員の方からはどのような感想がありましたか?

受験をした社員からは、「目に見えない心の問題や対処法について体系的に学ぶことができた」と好評です。

また、「部下への業務の割り振りなど、量的な負担や心の健康状態をよく考慮して決定しようとする意識が高まった」という感想もあり、日ごろの業務にも学んだ内容が生かされているのではないかと思います。

さらに支社の営業担当者からは、「社員の心のケアや労務管理に悩む企業の経営者様との会話に生かされた」との報告がされるなど、導入当初には想定していなかった効果もありました。

人事担当者の目線で感じた効果などはありましたか?

最近はメンタルヘルス不調者への対応に関する照会などが減ってきたと感じています。これは管理職層を中心にメンタルヘルス・マネジメント検定試験を受験することでメンタルヘルスに考慮した対応方法を身に付け、働く社員に対して心配りができている成果ではないでしょうか。

従来のように、メンタルヘルス不調者が出て、本社の人事総務部に相談をして…という流れでは、遠方であればあるほど状況の把握・理解が難しく、対応のスピード感にも限界があります。

現場で適切なヒアリングをしたり「休みを取って専門家に見てもらった方がいいよ」などの提案をしたりと、知識に基づいた丁寧なケアができれば時間のロスも少なく、不調者の症状も軽く済む場合があるのです。

また、メンタルヘルス・マネジメント検定試験の受験促進と併せてパソコンの自動シャットダウンや早帰りデーといった労働時間縮減活動、社員の健康増進を図るための各種取り組みなどが評価され、積極的に社員の健康経営に取り組む法人を経済産業省が顕彰する「健康経営優良法人~ホワイト500~」※に2017年度から6年連続で選ばれるなど、社外での評価にもつながっています。
※健康経営優良法人認定制度について詳細はこちら

これからの展望について教えてください。

今後も引き続き管理職層全員の合格を目指します。現在管理職に就いている社員はもちろん、新たに昇進や昇格を遂げた社員もぜひ合格して、日々の業務に生かしてもらえれば嬉しい限りです。

また、全社員に自身の心の健康に関心を持ってもらいたいという思いで、年に1回健康をテーマとしたセミナーを実施しており、今回は「メンタルヘルスの正しい理解、セルフケアによる対処方法」をテーマとして昨年12月に開催しました。管理職層にはメンタルヘルスの知識が広まりつつありますが、このセミナーを機に知識やノウハウを全社的な共通認識に押し上げていくことで、さらに働きやすい職場環境を作ることができるのではないでしょうか。 

最後に!メンタルヘルス・マネジメント検定試験の一番のおススメポイントを教えてください。

メンタルヘルス・マネジメント検定試験を受験すると、人の内面の問題を体系的に学び実践で生かせるノウハウに昇華できます。これが最もおススメできるポイントでしょう。

メンタルヘルスの知識は業種や職種にかかわらず、誰にとっても行動の軸となり得ます。特に管理職に就いている方ならば、職場の環境づくりや、万が一のときに部下が安心して相談できる上司でいるためにも、取得して損はないはずです。

メンタルヘルスに関する知識やノウハウが管理職のベーシックスキルになりつつある今こそ、受験の好機だと思います。


社名
大同生命保険株式会社
代表者
代表取締役社長 工藤稔
従業員数
内務職員3,119名 営業職員3,786名(2019年3月末現在)
事業概要
生命保険業など


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