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漢検1級の世界とは?出題レベルや独特の勉強法を漢検&日本語検定1級YouTuberに聞きました!

インタビュー

漢検1級の世界とは?出題レベルや独特の勉強法を漢検&日本語検定1級YouTuberに聞きました!
漢検&日本語検定1級YouTuberのあびさんと、元・芸人で編集部スタッフの望月遼馬の対談を連載する企画がスタート!第1回は漢検1級の世界を深掘りします!
毎年100万人以上が受検している日本漢字能力検定(漢検)。その中でも1級の問題は異次元の難しさとして知られ、テレビのクイズ番組にも度々登場しています。
そんな漢検1級について、出題レベルや勉強法、実際に出題された難問などを伺いました!
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お話を聞いたのはこの方

あび さん
現在20歳の大学3年生。高校1年生のときに漢検準1級合格、大学2年生のときに5度目の挑戦で漢検1級に初合格。その後も受検を続ける漢検1級リピーター。
日本語検定1級も合格し、2021年度第1回試験では日本語検定委員会賞と、2度目となる時事通信社賞を受賞。YouTubeで活躍するほか、漢字の同好会では講師なども担当。
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インタビュアーはこの人

望月遼馬
元・芸人で、25の資格を持つ「日本の資格・検定」編集部スタッフ。
上司のしか犬ぶちょーと共にさまざまな資格・検定にチャレンジしている。
「ノー勉強で漢検何級まで受かるか?」というブログ企画では漢検3級まで合格。準2級は勉強しても2度不合格という結果に…。


漢検1級はどんな試験?

「漢検1級=当て字」のイメージは間違い!

望月:漢検1級というと、テレビのクイズ番組で見るような「当て字」がたくさん出題されるイメージを持っているのですが…。

あびさん:確かに当て字(熟字訓)は1級の試験でのみ問われる特徴的な出題項目ですが、当て字の出題は200点満点中10点で、たったの5%なんです。

望月:たったの5%!?

あびさん:はい!当て字は配点が高くないので、漢検1級の合格にそこまで重要ではないというのが実情です。

しかし、漢検1級の当て字は出題範囲がとても広く、動植物やものの名前、概念、地名や歴史的用語も出題されます。中には聞いたこともないような言葉に漢字を合わせて覚える必要があるので、配点が低い上に対策が難しいという受検者泣かせな分野でもあります。

1級以外でも使える漢字攻略法はこちら

難しすぎて「読み」問題が得点源にならない!?

望月:当て字で点が取れないなら、比較的解きやすい読み問題でしっかり点を取る必要があるんですね!

あびさん:実は、読み問題が得点源になるとは限らないんです!

望月:え!?

あびさん:準1級以下では、「読み」の問題で得点を稼いでいる方も多いと思いますが、1級では「読み」は全く得点源になりません(笑)

望月:そんなに難しいんですか!?

あびさん:1級の読み問題は、「分からないけどたぶんこの読み方かな」という推測が全く効かなくなります。

また、中には常用漢字も出題されますが、その場合はマイナーな用法や読みが問われるので「読み以外の問題のほうが簡単だった」ということも少なくありません。
⇒漢検1級のサンプル問題はこちらからどうぞ

望月:恐るべし、漢検1級…!


漢検1級合格者に聞きたい3つの数字

合格までにかかった期間は?

望月:あびさんは漢検1級に合格するまで、どのくらいの期間勉強をしましたか?

あびさん:漢検1級に初めて合格するまでには1年8カ月間くらいかかりました。

はじめは1級独特の勉強方法が分からなかった上に、その1年8カ月間にプラスして、大学受験期のブランクもあるので、合格までかなり遠回りしたと思っています。

望月:1年8カ月でも遠回りなんですか?

あびさん:はい。ただ漢検1級リピーターの方に「合格するまで早かったね!」と言われることもあり、合格までにかかる時間はさまざまなようです。私の周りでは、漢検1級初合格までに1~2年くらいかけている方が多い印象です。

1日の勉強量は?

望月:1日にどのくらい漢字の勉強をするんですか?

あびさん:学校の勉強や課題とは別に、毎日2~3時間、試験前には1日8時間~10時間ほど勉強します。

望月:私が漢検準2級にチャレンジしたときは、試験2週間前からだいたい1日に1~2時間くらい勉強したのですが、勉強量が比べものにならないですね!

どのくらいの量の漢字を覚えてる?

望月:あびさんは今、どのくらいの量の漢字を覚えているんですか?

あびさん:漢検1級の出題対象漢字は約6000字なので、少なくともそのくらいは覚えていると思います。

望月:そんなに覚えているんですか!?

あびさん:はい!さらに熟語だと、1級対策で意味と併せて覚えたものが1万語ほどで、意味が分からなくても読める熟語は、もう数えられません!

四字熟語になると1700語ほど記憶していて、その中で意味も把握できているものは900語くらいです。

望月:すごすぎてコメントできないですね…(笑)


漢検1級の勉強、必要なのはテキストと…

望月:やっぱり漢検1級の勉強って、他の級の勉強法とは違うものなんでしょうか?

あびさん:そうですね。漢検1級は、公式テキストや問題集のみでは太刀打ちできません!

何冊かテキストを勉強して、過去問題を5年分ほど解いても取れるのは200点満点中140点ほどではないでしょうか?

望月:漢検1級の合格ラインが160点ということは、それでも20点足りないですよね!?

あびさん:そうなんです!そこで、合格までのあと20点を取るには、漢字辞典や四字熟語辞典、故事ことわざ辞典が必須です。
望月:こんなにたくさんテキストをお持ちなんですか!?

あびさん:はい(笑)この中でも『漢検 漢字辞典』(日本漢字能力検定協会)や『漢検 四字熟語辞典』(日本漢字能力検定協会)で1級の出題対象を確認したり、『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂)で知らない言葉をチェックして、ひたすら覚えるのが漢検1級合格への最短ルートだと思います。

私は普段から解けなかった問題・知らなかった漢字をメモにまとめて持ち歩いたり、エクセルデータとしてスマホやタブレットに入れたりしていつでも見直せるようにしています!
望月:こんなにぎっしり!

あびさん:また、漢検1級リピーターのブログやSNSで積極的に情報収集するのもおススメです。準1級までのように公式テキストや問題集を解くだけの受け身の勉強ではなかなか合格できないのが漢検1級の難しさです!




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