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僧侶のなり方とは?資格は必要?費用や勉強内容をレポート!【連載はやしかく】

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僧侶のなり方とは?資格は必要?費用や勉強内容をレポート!【連載はやしかく】

最も古く、未知なる資格といえば、「僧侶」ではないでしょうか。私自身が「僧侶」になったということもありまして、あまり知られていない「僧侶」へのなり方や、体験談を交え、「僧侶」という資格についてご紹介してみようと思います。

今回お話する対象は、日本の仏教の「僧侶」です。神道の場合には神社の神主さん、キリスト教の場合には牧師さんなどがありますが、それらは対象外ということで、ご容赦くださいませ。

坊主頭に込められた意味とは?

「僧侶」の資格は、各宗派や寺院単独などで認定する、いわゆる民間資格というカテゴリーに属します。

どの宗派の場合も、基本的には「得度(とくど)」という儀式を経て、「僧侶」としての名前を授かることにより、正式な「僧侶」になれるというイメージです。

「得度式」を終えての一コマ。「得度式」では様々な細かい行事を1日がかりで行います。

「得度」は“渡りを得る”というのが元の意味で、煩悩の渦巻くこの世界から、仏法に帰依することを誓って悟りの世界に渡らせていただくということです。

文字にすると堅苦しくなってしまうのですが、動画でわかりやすくお話してます。

実際には、「僧侶」になってもすぐに一人で全ての儀式が出来るというわけではありませんので、イメージとしては自動車運転免許の初心者マークの状態か、教習所で仮免許がもらえた位かもしれません。

「得度式」を終え、法名「覚諭(かくゆ)」を手に。

「僧侶」業界の内部にはランクのようなものがあり、それによって着用して良い袈裟の色などが決まったりしています。お坊さんの着用しているモノについても、注目してみると新たな発見があるかもしれませんよ。

なお、坊主頭にしておく必要があるかどうかは、宗派によって異なります。ただ、どの宗派の場合も、「得度」するタイミングでは剃髪してスキンヘッド必須のことがほとんど。(「得度」を受けるのが単一寺院の場合には、各寺院の考え方により不要な場合もあり。)

剃髪には、「得度」に際して現世の汚れを最小限にするといった意味があるようです。

かけ離れた場所にいるからこそ興味深い「仏教」

私の周りで「僧侶」を志した方の多くは、ご家族を亡くされたとか、身近で仏教に接するタイミングがあったということが多いのですが、私はそういった経緯ではありませんでした。

私の場合は、多くの資格を取得し続けている中で、学びの対象として宗教というのがずっと気になっていたんです。

あいにく日本では、歴史的な経緯などがあって公立の学校では宗教を学ぶ機会がありません。私も幼稚園が仏教系ではありましたがよく覚えてはおらず、学ぶ機会が無かったからこそ、気になっていたというわけです。

「南無阿弥陀仏」の文字練習。

学んだことがないものなら他にもあるのですが、なぜ仏教だったのか。

私自身は、ITに詳しい士業として、DXや業務効率化といった、およそ「僧侶」という位置からは遠く離れた仕事がメインです。

ただ、多くの物事には流行り廃りがあるように、私の仕事もいつまでも同じで良いとは思っていませんので、あえて遠くに手を出してみました。

人気があるわけではありませんが、決して無くなるものではありませんし、「僧侶」という資格は、士業という仕事とも一定の親和性があるかなと思っています。

少人数スクールはアットホームでなじみやすい雰囲気

私の場合は、浄土真宗の東本願寺派が運営している、一般人でも入ることが可能な「宗学堂」というスクールに通いました。

少人数で、気になることがあれば何でも質問でき、割とアットホームな雰囲気です。何も知らない状態から、1年でそれなりに詳しくなれた気がしますので、少人数スクールを選んで良かったなと思っています。

週末に2時間程の授業があり、3科目について1年間学び、最終的には、各科目で試験や面接を経て、1年の過程が終了に。

授業は、「仏教入門・真宗入門・初級声明」の3科目。

仏教がインドで生まれ日本に伝わってくる過程やその考え方の変遷などを学べる上、身の回りの仏教に関する疑問なども質問できるので、毎回とても興味深く授業を受けることができました。

お経の実技練習中。

お経の実技は家でも多少練習したほうがいいのと、1年の最後には各科目でテストもあったりしたので、それに向けてある程度は勉強時間を確保する必要も。(ただ、厳しくして落とすような感じのテストではありませんので、ちゃんと授業に出たり復習していれば卒業できます。)

その後、「得度式」を受けて「僧侶」となりましたが、2年目以降も中等科、高等科とステップアップして勉強は続いており、現在は3科目それぞれを更に詳しく学んでいる最中。

内容は専門的になり、お経も少し難しくなり、徐々に本格的な勉強が必要になってきています(汗)。

資格としては相当特殊なものと言えそうな「僧侶」ですが、難関国家資格などに比べれば期間や費用の負担も大き過ぎるというわけではありません。

その割には、全く知らなかった世界の知識を得ることができ、個人的にはとても有益だなと思っています。

「僧侶」になるまでの流れや期間、費用などは各宗派で異なると思いますので、興味がある場合はまず、どの宗派が自分に合いそうかを調べた上で、各宗派で運営している学校などへ問い合わせてみて下さい。

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「はやしかく」とは?
250以上の資格を持つ「資格ソムリエ」こと、はやし先生(林 雄次さん)が、資格・検定にまつわる役立つ情報を独自の視点でお届けします。連載「はやしかく」の記事一覧はこちら!

林 雄次さん
大手企業にてITエンジニア職を経験後、IT活用&DX推進に注力する新世代の社労士・行政書士として独立。企業の働き方改革や業務改善、IT導入などを支援する「デジタル士業」として活躍。また、その他の士業を含む250以上の資格を持ち、「資格ソムリエ」としてさまざまなメディアに出演中。
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