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国家資格・毒物劇物取扱責任者を大解剖!〜取得方法や就職での活かし方も〜

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国家資格・毒物劇物取扱責任者を大解剖!〜取得方法や就職での活かし方も〜
化学・工業系資格の中でも需要の高い国家資格「毒物劇物取扱責任者」ですが、「取得までの流れが分かりづらい!」「なかなか受験までの情報が出ていない」と感じている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、毒物劇物取扱責任者を大解説!

毒物劇物取扱責任者の資格取得までの流れや、混乱しやすい毒物劇物取扱者との違い、就職・転職での活かし方など、ぜひ参考にしてください。

そもそも毒物・劇物とは?

化学物質の中でも毒性の強いものから順に「特定毒物」「毒物」「劇物」と呼ばれます。

サスペンスドラマやミステリー小説などでよく耳にする「毒薬・劇薬」とは扱われる法律により区分されていて、毒薬・劇薬が薬事法で指定されている物質を指すのに対し、毒物・劇物は毒物及び劇物取締法で指定された物質を指しています。

少量でも体内に入ると副作用が起きたり、廃棄方法によっては公害を起こしてしまったりと危険がある一方、主に臨床検査用の試薬※や工業薬品、農薬などに使われ、身近で便利な存在でもあります。

※傷病の治療目的ではなく、試験や研究開発で使用される薬品。臨床医療においては、病気の有無や健康状態を検査する際に用いる。

分かりづらい!?「毒物劇物取扱者」と「毒物劇物取扱責任者」の違いって?

ヒトコトで違いを表すならば、「毒物劇物取扱者」は「試験」、「毒物劇物取扱責任者」は「資格」です。取扱者試験の合格だけでも、毒物・劇物に関する知識を証明することはできますが、正式に必置義務のある資格として活用するには、毒物劇物取扱者試験に合格後、都道府県の行政窓口に申請し、毒物劇物取扱責任者として登録する必要があります。

◆毒物劇物取扱責任者の詳しい概要はこちら
◆毒物劇物取扱者の詳しい概要はこちら

毒物劇物取扱責任者を取得するまでの流れが知りたい!

【ステップ1 毒物劇物取扱者試験を受験する】

試験は「一般」「農業用品目」「特定品目」の3種類に分けられています。都道府県によって違いはあるものの、基本的には毒物・劇物に関する法規や基礎科学、毒物・劇物の性質、識別方法、取り扱い方法などが問われます。
※実地試験の範囲とされている毒物・劇物の識別、取扱方法の問題も筆記での試験を行う地域がほとんどです。

学歴や年齢に関係なく、各都道府県で誰でも受験することができますが、薬剤師資格を持つ方や工業高校で応用化学に関する学科を修了した方などは、既に毒物劇物取扱責任者への申請資格を持っているため、受験の必要はありません。

【ステップ2 毒物劇物取扱責任者資格の申請・登録】

毒物劇物取扱者試験に合格後※、都道府県への申請により毒物劇物取扱責任者の資格を取得できます。
毒物及び劇物取締法第8条の2で規定された方は、取扱者試験に合格しても毒物劇物取扱責任者資格を得ることはできません。

薬剤師資格を持つ方や工業高校で応用化学に関する学科を修了した方などは、申請のみで毒物劇物取扱責任者資格を得ることができます。

毒物劇物取扱責任者の資格を取ると何ができる?必置資格で就職・転職に強いって本当?

毒物劇物取扱責任者資格を取得した後は、毒物・劇物の製造・貯蔵の過程に誤りがないかの確認、運搬や陳列の段階において基準が守られているかの確認、また、毒物・劇物の紛失や漏出の防止、必要機材などの点検、保健所とのやり取り、他の従業員への教育など、毒物・劇物に関する業務を幅広く行うことができます。

加えて、毒物・劇物の製造、販売、管理に携わる企業・団体では、工場や営業所ごとに、常駐の上、業務を監督できる毒物劇物取扱責任者を必ず1名以上置く必要があり、資格保持者のニーズは高いと言えるでしょう。

毒物・劇物の知識はどんな業務で活用できる?

臨床検査業務

多くの方が健康診断や検査で血液などを採取した経験があるのではないでしょうか。このとき採取した検体から特定の成分や組織を抽出するための試薬が毒物・劇物に指定されている場合があります。臨床検査技師資格のWライセンスとして毒物劇物取扱責任者資格を取得する方も多いようです。

塗装剤をはじめとする工業薬品の製造・販売・使用

塗装材などの工業薬品やその原料は毒物・劇物に指定されている場合が多く、製造・販売に従事する方や、実際に使用する方の多くが毒物劇物取扱責任者資格を取得しているといわれています。入社後に取得を義務付けている企業も多く見られます。

クリーニング業界

洋服のクリーニングを行う際のしみ抜き剤や溶剤が毒物・劇物に指定されている場合があります。店舗や事業所に毒物劇物取扱責任者を置く義務はありませんが、しみ抜き剤・溶剤の取り扱い時や保管時の管理などで知識を生かすことができるでしょう。

農業

一部の農薬や肥料が毒物・劇物に指定されているため、毒物劇物取扱者試験には農薬を中心とした知識が問われる「農業用品目」のコースが設けられています。全国の農協でも毒物・劇物に該当する農薬を取り扱うのにあたって毒物劇物取扱責任者の設置が義務付けられており、業界を挙げて資格取得が促されています。

ビル・マンションのメンテナンス業務

ビルやマンションにおいて、建物内外の清掃・衛生管理や害虫駆除、廃棄物・給水装置などの設備管理でも毒物・劇物の知識を生かすことができます。ビル・マンションのメンテナンスを行う企業をはじめ、不動産管理系の企業でも毒物劇物取扱責任者資格の取得が奨励されていることがあります。

廃棄物処理

環境問題や公害問題が深刻化する中、毒物・劇物の処理方法も物質ごとに細かく決められています。廃棄物処理業の中でも、産業廃棄物や化学物質、薬品の廃棄を専門に扱う企業では毒物劇物取扱責任者を必置としていることがほとんどです。

消防・救急

毒物・劇物を取り扱う工場や事業所で火災や漏えい事故などが起こった際にも出動が求められるため、毒物劇物取扱者試験の受験が促されています。併せて危険物取扱者や消防設備士といった資格を取得するケースも見られるようです。


いかがでしたか?

毒物劇物取扱責任者というと、少しニッチなイメージがあるかもしれませんが、実際は化学・工業系の業界をはじめ、さまざまな場面で活躍が期待できる資格でしょう。また、業務によっては店舗や事業所に対して毒物劇物取扱責任者の必置義務があるため、手に職を付けたいという方にもおススメです!

ぜひ毒物劇物取扱責任者の資格取得を考えてみてはいかがでしょうか?

注)試験に関する詳しい内容は管轄の自治体にお問い合わせください。

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